グローバル企業が注目している「マイクロバイオーム」

ビューティー産業のグローバル企業がマイクロバイオーム(微生物叢)に注目している。ランコム(Lancome)、ロレアル(L’Oreal)、オレイ(OLAY)等のブランドは中国内外にマイクロバイオームを含む化粧品を積極的に発売し、関連研究も活発である。

新たな注目キーワード

マイクロバイオーム(Microbiome、微生物叢)とは、体内の微生物が形成する群集を指すもので、これらが肌や体内のバランスを保つ役割をしている。これまでの特別な成分や機能を与えるという考え方ではなく、すでに体内にあるマイクロバイオームを活用し、肌の健康を取り戻せるという点で、近年市場で大きな注目を集めてきた。とりわけスキンケア商品にマイクロバイオームを活用した商品が増加傾向にある。また、ニキビ・アトピー性皮膚炎・乾燥肌など、肌トラブルの改善に効果があることで、化粧品企業が研究開発に注力している。

フランスのダーマ化粧品(低刺激・敏感肌向けの化粧品)ブランド、アベンヌ(Avène)は2019年末、韓国で開催したシンポジウムのテーマを「肌マイクロバイオーム」とし、世界中から100名以上の皮膚科専門医を招いて研究結果を発表した。アベンヌの他にも、ロレアル、アモーレパシフィック(AMOREPACIFIC)等の化粧品企業がマイクロバイオーム関連の商品を発売している。

ロレアルはとりわけこの分野での研究が活発なことで知られている。ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)の新商品である「リピカバーム AP+M(Lipikar baume AP+M)」はマイクロバイオームでかゆみを伴う乾燥肌を改善する商品である。主にスキンケアに強みを持っているブランドがマイクロバイオームを活用する技術を活かし、市場競争での優位に立とうとしている。

消費者の興味関心も上昇傾向に

未だ中国のSNS上でマイクロバイオームを指す「微生态, 微生物」というキーワードはあまり認知されていない。Weiboでの当該キーワードを含めた投稿数も数少ない。ところが、マイクロバイオームの一種である「プロバイオティクス」や「乳酸菌」を検索すると徐々にその関心が高まりつつあることが見て取れる。下の図はWeiboで当該キーワードが含まれている商品のエンゲージメントを示したものである。2019年の1年間で、2つのキーワードに因んだ投稿が次第に増加、年末には急増する傾向を見せている。

図1.Weibo内 マイクロバイオーム関連キーワードのエンゲージメント推移|資料:メジャーチャイナ

つまり、消費者にとって「マイクロバイオーム」というワードはまだ馴染みがないかもしれないが、多くの消費者はすでにこれを活用した商品を使っているのである。中国国内市場のエッセンスカテゴリー上位ブランドであるランコムの「Genifique」、Estee Lauderの「Advanced Night Repair」もマイクロバイオームを活用した商品である。

また、2020年に入り、OLAYは酵母エキス配合のスキンケアラインであるGolden aura essence lotionを新発売し、中国ブランドのCHANDOはランコムのエッセンスと類似した成分を配合したアンチエイジングエッセンスであるTime Frozenエッセンスを販売している。今年に入り、多くのブランドがマイクロバイオーム成分を自社商品に取り入れており、そうしたグローバルなトレンドに合わせて中国市場でもトレンドになりつつある。

マイクロバイオームは健康食品、ヘアケア、インナービューティー、抗がん剤に至るまで、多様な分野に適用可能であり、多方面での研究が進められている。強い香り、目に付くパッケージングを用いたアプローチではなく、肌本来の免疫力を強めるという点で、これを用いた技術は消費者層のニーズを満たすものと判断される。スキンケアカテゴリーで「マイクロバイオーム」のキーワードが目に付く日はそう遠くないのかもしれない。

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