ポンプ式歯みがき粉は次のトレンドとなるか?

ポンプ式歯みがき粉市場が急成長している。ネット上の歯みがき粉市場ではポンプ式歯みがき粉の浸透率が9.6%に達し、10%を突破する日も遠くはないだろう。ポンプ式歯みがき粉は1)使いやすさ、2)衛生的、3)無駄のなさといった面で愛用されているようだ。では、果たしてポンプ式歯みがき粉は市場の次なるトレンドになりえるだろうか。

韓国ではすでにロングセラー、中国では?

韓国のポンプ式歯みがき粉市場は2013年LG生活健康の「ペリオポンピング歯みがき粉」発売から始まった。LG生活健康では2013年~2018年の5年間で、およそ1,500万個のポンプ式歯みがき粉を売り上げたという。特に2018年には「ヒマラヤピンクソルトポンピング歯みがき粉」が発売されたため、前述の「ペリオ」とともに歯みがき粉全体の売り上げをけん引するかたちとなった。さらに2018年7月〜2019年6月の1年間で1,000万個の売り上げを記録した。こうしてポンプ式歯みがき粉は、名実ともにロングセラー商品として認知されるようになった。

LG生活健康は2013年、「ペリオポンピング歯みがき粉」の韓国発売からほどなくして中国市場へと進出、ソン・ジュンギをモデルに起用し、注目を集めるのに成功した。当時「ペリオポンピング歯みがき粉」の中国国内における販売量は月10万個以上で品薄状態になった時期もあるほどだった。それに次いで2018年3月に韓国で「ヒマラヤピンクソルト歯みがき粉」が発売されると、同年夏には該当商品のチューブタイプとポンピングタイプが中国のワトソンズ(Watson’s)に入荷されるようになった。このようにポンプ式歯みがき粉は、中国市場での新たな成長可能性を模索し始めている。

2019年第4四半期、Tモール/タオバオ内におけるポンプ式歯みがき粉の売り上げ1位ブランドはGuangdong Kanwan(广东康王)傘下のHosjamである。 Hosjamはポンプ式歯みがき粉市場シェアの37%を占めており、2位のDencare(市場シェア9.7%)に比べても大きく差を広げている。チューブタイプ歯みがき粉市場をリードしているColgate、Sakyもポンプ式歯みがき粉を発売し、LG生活健康は6位を記録した。(MeasureChina、2019年10月〜12月データ)

図1. ポンプ式歯みがき粉市場TOP10ブランドの市場シェア|資料:MeasureChina

浸透率10%、成長期を迎えた中国ポンプ式歯みがき粉市場

2019年第4四半期、Tモール/タオバオ内の歯みがき粉の売上高は6.2億元。その中、ポンプ式歯みがき粉の売上高規模は6,000万元である(浸透率9.6%)。浸透率10%突破を新規市場の成長シグナルと見なせば、現段階は今後のポンプ式歯みがき粉市場の成長潜在力が判断できるいいタイミングだと言える。

ポンプ式歯みがき粉のメリットは「利便性」、「衛生的」、「効率性」

MeasureChinaではRED(小紅書)内のポンプ式歯みがき粉に関連する4千余りの投稿をテキストマイニングによって分析。その結果、中国消費者がポンプ式歯みがき粉を購入する理由を大きく「利便性」、「衛生的」、「効率性」の3つに分類した。

(1) 利便性
チューブタイプの歯みがき粉は「キャップを開ける→チューブを絞る→キャップを閉める」という3ステップが必要である。ところが、ポンプ式歯みがき粉は一回プッシュするだけで済むのでポンプ式歯みがき粉利用者の30%が「早くて便利」であることを購入の理由として挙げている。

(2) 衛生的
チューブタイプの歯みがき粉はキャップをしっかり閉めないと水分が入る可能性があり、これは中身の変形、カビ繁殖の原因になる。一方、ポンプ式は使用時のみ中身が出る仕組みなので、より衛生的である。そこで全体投稿の約15%が「衛生的」という理由でポンプ式歯みがき粉をお勧めしていた。

(3) 効率性
ワンプッシュで毎回適量を出すことができ、力加減で使用量を調節できるため、無駄を最小限に抑え、経済的でもある。

ポンプ式歯みがき粉が越えるべきハードル

ポンプ式歯みがき粉は、チューブタイプとは異なる形状の容器を使用しているのが最も大きな特徴である。しかし、この容器の違いというのが、ポンプ式歯みがき粉の唯一の長所ともいえる。Perioe、Colgate、Saky等、ほとんどのブランドはチューブタイプとポンピングタイプを同時に販売しているため、歯みがき粉の成分および効果がポンプ式歯みがき粉の決定的な購入決定要因にはならない。

ポンプ式歯みがき粉が機能面でアピールできる競争力を持てないとチューブタイプを凌駕することは難しいといえる。チューブタイプの歯みがき粉に集中している需要がポンプ式歯みがき粉へ移行する構造的な転換が行わないと、ポンプ式歯みがき粉市場の成長潜在力は限界を迎えるに違いない。

YNBY、DALIE、Crest、White&White (LION)、Zhonghua等、チューブタイプの歯みがき粉の人気ブランドも、ポンプ式歯みがき粉市場への進出には消極的である。ポンプ式歯みがき粉は消費者へ選択の幅を広げることは可能かもしれない。しかし、選ぶべき決定的なメリットが欠如しているのがこれからポンプ式歯みがき粉が越えるべきハードルとなっている。

今後、さらなるブランドがポンプ式歯みがき粉市場に参入することで、新たな成長の機会も増えると予想される。ポンプ式歯みがき粉が2020年の次なるトレンドになることを期待する。

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