M&Aシリーズ1:グローバルコスメのM&A競争 by soominkang1月 15, 2020 近年、コスメ産業で大型のM&Aが相次いで発表されている。買収会社はすべて世界規模のコスメ大手であり、買収された会社は割と最近設立された企業という共通点がある。また、商品販売価格の面から見るとプレスティージセグメントに属するブランドである。 図1.最近話題になった被買収企業|資料:メジャーチャイナ Kylie Cosmetics x Coty Kylie cosmeticsは設立初期からの設立者であるKylie Jennerが消費者と直接コミュニケーションを取り、いち早くユーザーボイスを商品に取り入れてきた。設立者がZ世代でもあるだけにInstagram、 Twitter、YouTube等、すべてのSNSプラットフォームにおいて活発に商品をPRし、自分の腕に直接カラーテストを行ったり、メイクプロセスを公開したりしてきた。最初はリップ商品から始めたSKUの範囲がアイシャドー、ブラッシャー、ハイライター等次第に拡大し、最近はスキンケアまでそのカテゴリーを拡張してきた。Kylie cosmeticsで新商品が発売されるとすぐ売切れになるほど数多くのロイヤルカスタマーを保有している。一方、Cotyは2019年(会計年度 6月30日終了)の売上高86.5億ドルを記録した化粧品大手である。ところが、いざブランドのポートフォリオを覗いてみると、スキンケアおよびカラーブランドよりは香水とヘアケアが主力商品で、消費者に馴染みのあるコスメブランドはマスセグメントに位置するCovergirl, Bourjois程度に止まっている。今回の買収を通してコスメカテゴリーでの存在感を高めていく計画であると考えられる。 Dr. Jart x Estee Lauder Dr. Jart+はEstee Lauderが初めて買収するアジアブランドである。BBクリームを筆頭に、セラマイディンライン、シカライン等、専門的なスキンケアという確固たるアイデンティティーを確立してきた点が高く評価されたと予想される。Estee Lauderは2015年、Dr. Jart+の持ち分の33.3%を買収したことがあり、4年間の戦略的関係を維持してきており、今回残りの持ち分66.7%を買収した。Estee Lauderは2019年の売上高148.6億ドルを記録した世界最大手のコスメ企業である。ラグジュアリーブランドをメインとするポートフォリオで構成されている企業であるが、最近香水ブランドやネットで起業したブランドを中心に買収しており、スキンケアの地盤を強化する必要性を感じたと思われる。現在、 Estee Lauder傘下のブランドの中、スキンケアに強みを持っているブランドはClinique, Darphin, Estee Lauder, La Mer, Lab Series, Originsに止まっている。Dr. Jart+のコンセプトは Estee Lauder傘下のどのブランドとも重なるところがなく、独自の価値を提供できると予想される。 Drunk Elephant x Shiseido Drunk Elephantはまだアジア圏には知られていないプレミアムスキンケアブランドである。肌や環境に有害な原料、人工香料を使わないので、 安心して購入できる点がリピート買いに繋がっていると思われる。肌本来の姿を取り戻すことをコンセプトに、SNS上でもスッピンのモデルを活用したPR活動を行っており、フルメイクをしなくてもいいという認識を普及させている。Shiseidoはプレステジーセグメントで強みを持っている企業であり、過去何年間 Laura Mercier, NARS等、海外のカラーメイクブランドを積極的に買収してきた。スキンケアカテゴリーでもそのバランスを取るために高額を払って今回の買収を決めたと思われる。 図2.被買収企業の中国国内における売上高推移|資料:メジャーチャイナ 上記の被買収企業は1) 成長スピードの速い新生ブランド 2) プレステジー価格帯 3) 確固たるアイデンティティー 4) まだローカライゼーションされていないという共通点を持っている。Drunk Elephantの場合、買収企業であるShiseidoが日本企業であるだけに、まもなく中国でも入手できると期待されている。 [次の記事] M&Aシリーズ2 : 中国市場を見据えたM&A SharingTwitterFacebook印刷LinkedInメールアドレスいいね:いいね 読み込み中... 投稿ナビゲーション Previous Post Next Post
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